collegio

挽 歌

「閖上(ゆりあげ)・荒浜」

つねあれば 春待つ田面(たづら)
地異津波 汚泥ひろがり

流木や ひしゃげた鉄の
色あせて 散じ突き立ち

 杉の木の 転じ重なり
 絡む根の 何をか掴む

 アスファルト 舗装はちぎれ
 「止まれ」字の 砂に座礁し

 松林 ばきりばきりと
 胴だけの 列をつくれり

 少年の 足裏(あうら)砂掻き
 貝採りし 古き運河は*

 海側の 片岸のみに
 とりどりの 瓦礫山なす

今日は晴れ 空の青きに
片雲(くも)の下 異臭少しく

指(さ)す方に 老眼(おいめ)凝らせば
セロファンの 風に捲れて

三本の 枯花斜めに
泥に挿しあり

一月の経つ

   *貞山堀(ていざんぼり)の貞山は伊達正宗の諡号。昭和30年代まで、大粒の蜆貝が獲れた。

江戸時代初期に通船のため、仙台の沿岸に開削された貞山堀は、津波の引潮でその海側の岸に瓦礫が集中した
江戸時代初期に通船のため、仙台の沿岸に開削された貞山堀は、津波の引潮でその海側の岸に瓦礫が集中した

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