collegio
4月 15th, 2011
4月 15th, 2011
挽 歌
「閖上(ゆりあげ)・荒浜」
つねあれば 春待つ田面(たづら)
地異津波 汚泥ひろがり
流木や ひしゃげた鉄の
色あせて 散じ突き立ち
杉の木の 転じ重なり
絡む根の 何をか掴む
アスファルト 舗装はちぎれ
「止まれ」字の 砂に座礁し
松林 ばきりばきりと
胴だけの 列をつくれり
少年の 足裏(あうら)砂掻き
貝採りし 古き運河は*
海側の 片岸のみに
とりどりの 瓦礫山なす
今日は晴れ 空の青きに
片雲(くも)の下 異臭少しく
指(さ)す方に 老眼(おいめ)凝らせば
セロファンの 風に捲れて
三本の 枯花斜めに
泥に挿しあり
一月の経つ
*貞山堀(ていざんぼり)の貞山は伊達正宗の諡号。昭和30年代まで、大粒の蜆貝が獲れた。