1992(平成4)年11月30日、新宿・紀伊國屋ホールで「国際シンポジウム・地図の世界」を主宰したことを思い出しました。
地図資料(古地図)を素材に日米英の専門家をお招きしたのでしたが、その際冒頭のスピーチをお願いしたのが井上さんでした。
鎌倉のお宅に張り付いて、朝方ひっぱってでもこなければ実現は難しいと思われたほどの超多忙な方でしたが、なんとか間に合いました。
お話は例によって軽妙で、難しい話の多いなかで、井上さんのお話は一般の聴衆の方々を引きつける役割を果たしていただけました。
彼の座右の銘というか揮毫の常句が、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」であることはよく知られていますが、その通りのお話でした。
その後も時々お付き合いはつづいていたのですが、私が自分の会社をおこした時は、1セット36万円也の『帝都地形図』や5万円ほどの『多摩地形図』をすぐさま購入。
現在まで続いている地図資料を満載の『季刊Collegio』もずっと定期購読していただいていました。
そうして何よりも励まされ、また意を得た思いをしたのは、「芳賀さんがやっていることは《有益です》」と言ってくださったことです。
まだまだ力になっていただけるはずの方を亡くしました。
4月9日、肺癌のため75歳で逝去。
惜しんで余りあります。合掌。
さて、その「有益」な本の新刊です。
奥付けは、この10日にしていますが、大好評の『川の地図辞典』の2冊目、〈多摩東部編〉を出しました。
新宿のジュンク堂書店では、さっそく立てて陳列(これを専門用語でメンチン(面陳)といいますが〉してくださっています。感謝、感謝。
新宿ジュンク堂書店8階地図コーナーの一角で
写真はシャメです。ちゃんとしたものにとりかえをと思ったのですが「店内での撮影は固くお断りします」の貼紙に気付いて、断念。
いずれにしてもありがたいことです。
どうかまた完売して、「改定版」が出せますように。
『川の地図辞典』〈江戸・東京/23区編〉のほうは3刷目、「補訂版」が発売中です。
1月1日は元旦。
3月3日はお雛様。
5月5日は端午の節句。
7月7日は七夕。
9月9日は重陽(ちょうよう)で「菊の日」。
1月1日は重要過ぎて五節句には含まれない。
1月7日人日(じんじつ)七種(ななくさ)をもってそのひとつとする。
同じぞろ目でも偶数は節句にはならないということ。
偶数は「陰陽」で言えば「陰」で、しかも「割れる」のでよくない、というのが一般俗説。
例えば、6月6日は雨ザアザア、でオーメンの日(6月6日朝6時に生れた悪魔の子)。
2月2日は?6月6日は?8月8日は?さておいて。
10月10日は双十節で、中国では国慶節にあたる。辛亥革命の記念日だから台湾でも大陸でも祝日。
実は6月6日も結構よい日で、宮中の故事をひいて「お菓子の日」とすべき、という意見もあるほど。
12月12日はもういいから、問題は4月4日。
次の日曜日。
この日は国分寺恋ヶ窪の日立中央研究所2010年春の庭園開放日にあたる。
で、『川の地図辞典』多摩東部編の出版記念ウォークをやろうという、実に慶賀すべき日。
多分申込先着十数名様にはこの日特別早くつくってもらった本が行きわたります。
奥付は4月10日だけれど、4月8日には多分出来ている。
で、今度の4月4日だけれど、多分雨にはならない。
四(si))の四は、「回生」なのです。
でも気温は谷間のようだし、国分寺は都心より幾分か寒いから、いらっしゃる方は十分お気をつけて。
2月初めから、2月中になって、とうとう3月に。
いつもの、ズルズル刊行予定で、大変申し訳ございませんが、
品切れ中の『川の地図辞典』江戸・東京23区編の3刷目(補訂版)
は、出来日が確定しました。
3月15日。
新刊の『川の地図辞典』多摩東部編については
あと3.4日で刊行日が判明すると思います。
でも、多分同じころでしょう。
刊行記念ウォークについてはそれからお知らせします。
少々お待ちを。
《江戸図の始原》を完全覆刻!
万治年間江戸測量図 オンデマンド・レプリカ版
MANJI-NENKAN EDO SOKURYOZU, 1:2400 Plan of Edo, 1657
ISBN978-4-902695-13-7
之潮編集部編/解説:秋岡武次郎(地図学)・桐敷真次郎(建築史)
定価924,000円(本体880,000円+税)
“究極の江戸図”がついに公刊
明暦の大火(1657年)直後、幕命により時の大目付北条安房守氏長が責任者となって実測作成された大縮尺精密原図(1:2400)。
原本は財団法人三井文庫架蔵にかかる本邦無二の資料にして、「江戸図の祖(おや)」と謳われた遠近道印の「寛文五枚図」の元となった官製図で、その貴重さおよび巨大さ(約4・20m×3・20m)故に、これまで詳細な調査・研究の及ばなかった原本を、はじめて最先端機器による高精細デジタル撮影に付した。
日本の近世史・科学史・都市史・都市計画史上、最重要資料のひとつ。
本資料はオンデマンド出版です。
ご希望により現物見本を持参いたします。ご覧になりたい向きは、小社までご連絡ください。
新刊
フィールド・スタディ文庫4
梅雨入りしたのに西日本は渇水状態。それも気候変動の故か、局所的豪雨も増加。
今月の《フィールド・スタディ文庫》の新刊は『地盤災害』。
震災は、決して手抜きや偽装建築だけの問題ではなかったのです。
本書はかつての宅地開発の具体相をあきらかにし、現在なお足元で進行する事態に警告を発します。
「安全」「安心」が叫ばれる今日、そのもっとも基礎的な問題を指摘します。
フィールド・スタディ文庫2・3
お待たせしました。「フィールド・スタディ文庫」の新刊2点です。
ひとつは、昨年2月に刊行して間もなく品切れとなったものの大幅増改訂版。もう1点はまったくの新版ですが、いずれも実地の「フィールド・スタディ」を誘う内容を備えていると信じます。是非店頭でご覧いただき、おもとめくださいますようお願いいたします。
なお、新刊といえどもこうした本を置いてある書店は都内でもそう多くはありません。ジュンク堂書店池袋本店と同新宿店、日本地図センター地図の店、神保町の岩波ブックセンターが数少ない常備店です。書籍のラインナップの充実とともに、置いていただける書店も増やしていきたいと思っています。