Archive for 1月, 2016

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自主講座

「代々木九十九谷凹凸地形徹底踏査」
日時:2016年2月13日(土曜日)午後2時集合
集合場所:京王線初台駅・東改札を出たところ(地下)
コース概要:京王線初台駅から小田急線代々木上原駅まで、約2時間半
尾根道の用水路跡と7つの谷・井戸と湧水と
参加費(資料代)1000円

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カミサマ

年末に女房のツテで、初期ユダヤ教研究で世界的に知られる土岐健治先生にお目にかかることができた。
先生のお宅のお庭には苗から植えたばかりのイチジクが実を付けていて、その2、3個が食卓にのぼった。
イチジクが実をつけるところはエデン(楽園)であると、先生は笑っておられた。
「知恵」を得たアダムとイブの恥部を隠したのは、聖書の創世記にはじめて植物種名が登場するイチジクである。

先生にお会いするのは躊躇があった。
私は前の会社で『死海文書の謎』などという翻訳本を出して、それなりの利益を得たものだから恥じ入るのである。
四半世紀も経たからすでに時効かもしれないが。

私の故郷は、自然主義文学の初期作品として知られる、真山青果の「南小泉」の地である。
その冒頭には、この地は卑湿のためイチジクがよく生える、とあった。
そこは別にエデンでもなかったが、いろいろな意味で心情の原景をかたちづくった場所である。
現在では、昨年末に開通した仙台市営地下鉄東西線沿線から外れた、場末に近い市街地である。
しかしそこは、私の記憶のなかでは、エデンである。
ただ、ここで言いたいのは、イチジクとその生える場所のことではなく、カミサマのことである。

「年末はサンタクロース。明ければ神様」という、いわば現代日本人の生活パターンが、「われわれ」のカミサマの原姿を映しているように思われるのである。
サンタクロースは、お父さんであり、お母さんであり、ジジババで、つまりは「人間」である。
現代の神社は、年始にそのほとんどを懸ける、地域産業のひとつである。

「カミ」(カン)とは、おそらく古墳時代には、部族国家の首長の称だったのである。
その部族国家連合の盟主は「オオクニヌシ」である。
「神無月」とは、部族国家首長会議の謂である。
それぞれのクニノミコトは、年に一度出雲に集合したのである。
そうして「カミ」とは、元来上位者の称であった。
だから「God」とは懸隔がありすぎるのである。
大陸から海路瀬戸内海を東進し、奈良盆地を中心に勢力を展開し、中央集権国家を形成するのは後発の部族である。

「god」と「カミ」を短絡してはいけない。
日本語の「カミ」は決して万能唯一の「神」ではない。

しかし日本列島上の「神=上=官」の意識構造は、今日の《「官」にブラ下がる「民」》という「ドレイ構造」の基本である。
それは「国立競技場問題」にまで貫徹しているのである。

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東京経済大学第1研究センターの研究室から撮った、
晩秋の日の出ならぬ日没。
中央右下に富士山の稜線がみえるのですが、わかるでしょうか。
(2段階拡大してみてください)
ここは「国分寺崖線」の真上に位置していて、下れば湧水地(新次郎池)、
初夏には窓がクヌギの黄色い花房で縁取られ、蝶などの昆虫が集まります。

ことしもよろしくお願いいたします

2016年1月1日