4月 14th, 2010
井上ひさしさん/新刊
1992(平成4)年11月30日、新宿・紀伊國屋ホールで「国際シンポジウム・地図の世界」を主宰したことを思い出しました。
地図資料(古地図)を素材に日米英の専門家をお招きしたのでしたが、その際冒頭のスピーチをお願いしたのが井上さんでした。
鎌倉のお宅に張り付いて、朝方ひっぱってでもこなければ実現は難しいと思われたほどの超多忙な方でしたが、なんとか間に合いました。
お話は例によって軽妙で、難しい話の多いなかで、井上さんのお話は一般の聴衆の方々を引きつける役割を果たしていただけました。
彼の座右の銘というか揮毫の常句が、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」であることはよく知られていますが、その通りのお話でした。
その後も時々お付き合いはつづいていたのですが、私が自分の会社をおこした時は、1セット36万円也の『帝都地形図』や5万円ほどの『多摩地形図』をすぐさま購入。
現在まで続いている地図資料を満載の『季刊Collegio』もずっと定期購読していただいていました。
そうして何よりも励まされ、また意を得た思いをしたのは、「芳賀さんがやっていることは《有益です》」と言ってくださったことです。
まだまだ力になっていただけるはずの方を亡くしました。
4月9日、肺癌のため75歳で逝去。
惜しんで余りあります。合掌。
さて、その「有益」な本の新刊です。
奥付けは、この10日にしていますが、大好評の『川の地図辞典』の2冊目、〈多摩東部編〉を出しました。
新宿のジュンク堂書店では、さっそく立てて陳列(これを専門用語でメンチン(面陳)といいますが〉してくださっています。感謝、感謝。
写真はシャメです。ちゃんとしたものにとりかえをと思ったのですが「店内での撮影は固くお断りします」の貼紙に気付いて、断念。
いずれにしてもありがたいことです。
どうかまた完売して、「改定版」が出せますように。
『川の地図辞典』〈江戸・東京/23区編〉のほうは3刷目、「補訂版」が発売中です。