collegio
4月 4th, 2011
4月 4th, 2011
地図と写真の「力」について 5
実は、3月24日には、放射性ヨウ素による「甲状腺被曝線量」をあらわす地図が、原子力安全委員会のコンピュータ試算で発表されていた。
いわゆる30キロ圏外でも、3月11日から24日まで屋外にあった仮定しての被曝総量が100ミリシーベルトを超えるところがあると。
IAEAが3月30日に警告した、飯館村の高濃度汚染(1平方メートルあたり2メガベクレル。IAEA避難基準の2倍の濃度)という事実も、この地図が正確に示していることがわかる。
このような地図は、「当局」が意図すれば、つまりつくろうとすればつくれるのだ。
すべては、この地図と、その更新図に依拠して、かんがえ、実行されるのが正しいはずだ。
ちなみに、この地図で「飯館村」は、上部の「福島」という文字のある一画にあたり、県庁所在地の「福島市」は、「川俣町」の西隣(図外)になる。
このような地図は、一度報道されただけで、以後はいつもの同心円図が相変わらずのさばっている。
人は、放射能でいまとりあえずは死ぬことはない、として、かろうじて日常を維持し、政府も「とりあえず」に依存してようやく体裁をとりつくろっている。
しかし、参照すべきは、スリーマイル島事故ではなくて、すでにチェルノブイリ原発事故の例であることは、誰の目にもあきらかになりつつある。
そうして、これらの図をみてもう一つあきらかになることは、20キロ、30キロといった同心円の図が、いかに実態にそぐわず、悪影響すらおよぼすか、ということである。
そこでは、不細工な地図の「力」が、社会に逆作用をおよぼしているのである。