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追悼自余 増訂版 

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目次
追悼中山ラビ 併せて季語の虚構について…………………5
ハクチョウとガン ―虚構の動物文学………………………12
善意と正義の行方………………………………………………21
芭蕉のカエル……………………………………………………28
あらざらむこの世のほかの その1…………………………33
あらざらむこの世のほかの その2…………………………40
あらざらむこの世のほかの その3…………………………47
・舌 苔………………………………………………………54
『宝島』海賊の歌 ―うたことばとリズムについて………57
・タワマン……………………………………………………68
齋藤愼爾氏のこと………………………………………………70
夢のあとに ―追悼中川肇氏…………………………………81
川上徹『査問』/小池真理子『無伴奏』……………………90
徐京植(So・Kyong-sik)追想………………………………98
あとがき…………………………………………………111

2023年11月30日 第1版第1刷発行
2024年 7月30日 増訂版第1刷発行
ISBN978-4-902695-39-7 C0195 ¥1000E
限定60部
表紙地図 1:20000迅速測図「内藤新宿」(1880年)の一部(陰陽反転)

増訂版あとがき
初版の誤植等を訂正し、内容を一部加除、かつ最終章をあらたに付け加え、増訂版とした。追悼すべき故人は後を絶たないが、ひとまず擱筆する。

(増補部冒頭の一部)
Kはレーニンを信奉していた。大学入りたてで『国家と革命』(レーニン)を読み興奮していた彼は、これほど「明快で突き抜けた」論理はないと私に言った。ちなみに「突き抜け」は、後々まで彼の口吻のひとつであった。すでに『レーニンから疑え』(三浦つとむ)を読んでいた私は、「そうかい」とだけ応えた。そこで争うつもりはなかったからである。以後決して口にすることなきも、Kが心中にレーニンを仰いでいたことは確かである。ちなみに『国家と革命』の中身は、社会民主主義者(カウツキー)への攻撃、すなわち「革命」の貫徹には「暴力」と「独裁」そして「抑圧」が不可欠であるとの言い募りである。その言の裏に厳然と横たわるのは、「科学」を装った「ルサンチマン」と「悪意」である。

Kは後年その言説と著作をもって、あらゆる「抑圧」と「暴力」を告発していたように見られている。最晩年には「真実」を追求しつづけるとも宣言した。しかしその言から見事に除外されていたのは、「北」のそれらであった。

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