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東京の微地形 東大島その1

前々回触れた早稲田大学エクステンションセンター中野校の《2022年度秋講座》は、昨日の「東大島巡検」で終了した。

2006年から淑徳大学の公開講座の1コマとして10年、その後は早稲田大学公開講座として、古地図や文学作品などを参照しながら東京とその周辺の地形を探査してきた。
そのひとつの成果が以下の「東京23区 微地形分類の試み」である。

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歩いてきたのは23区に限らず、多摩地区や横浜、三浦半島、内房、外房などの東京周辺域も含まれ、昨今では『武蔵野樹林』連載(「武蔵野地図学序説」)の関係もあって埼玉県域も踏査しているのだが、その際第一に参照するのは各地の自治体史であり、基本資料もそれぞれの図書館にあるのだから行政体を単位とせざるを得ず、とりあえずは23区をひとまとめとし、早稲田の講座では2020年から千代田区を筆頭に1区ずつ再検討して現在はようやく8区目の江東区を終えたところである。

来年の2月は早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校で品川区を(ただし屋外巡検はなし。古地図を中心に)、4月は同中野校で目黒区の微地形 について話す(屋外巡検あり)予定である。
今回は2022年度秋講座「江東区の微地形」から、10月27日の「東大島巡検」で紹介したケースのひとつが話題である。

10月20日の「森下巡検」は隅田川(旧荒川)の自然堤防上が基本であったが、東大島の場合はそれとは逆に、都内でもきわめて特異な人工地形の上を歩くことになる。
そのことは次の図(2万5千分の1デジタル標高地図「東京区部」2006年〈部分〉)がきわめて明瞭に示す。

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図の中央を細長い虫のように曲流するのは旧中川で、その右側の太い導管状の流れは1930年に竣工した荒川放水路つまり人工河川の現荒川である。
図が全体に濃い藍色を基調としているのは、ここが「東京ゼロメートル地帯」のなかでもとりわけ低位で、ほとんどが東京湾の干潮面よりも低い「マイナス地帯」だからである。

ところどころ水色や緑色が目立つのは人工的な土盛りが施された高位部で、都営新宿線東大島の駅は図の右下、旧中川を挟んで細長い緑色の島のようなところに位置するが、中川が区境のため、駅ホームは江東区と江戸川区にまたがる高架で、下の写真は下りホーム中央の柱に設置された「行政区分標」で、鉄道駅には珍しい例ある。

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旧中川で分断されてはいるが、この緑色の細長い逆三角形地帯は外郭堤防が維持されていなければ、浅い海か干潟に囲まれた「島」となるエリアなのである。

27日のコースは駅の小松川口から出発してこの土盛り孤島の南半部を歩き、ヒトが水に対してつくりだした地形と地物を確認するものであった。

上掲青図を拡大すれば、緑色の「島」の上半分に「大島小松川公園」「小松川一丁目」の文字が確認できるだろう。
この緑色の「島」は、1997年に開園した江東区と江戸川区にまたがる都立の市街地開発公園で、防災避難所を想定した5つのリクリエーション広場と都住宅供給公社の集合住宅群を擁する、面積24万平方メートルの盛土地帯なのである。

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