枝落ちし野分過ぎれば咎ありと駅前古木皆伐られたり

「大木」や「古木」と言うには少し足りないけれど、それでもその三本のケヤキの木は堂々としていて、たくさんの枝を広げ、夏には一息つける木陰をつくり、夕方には鳥の群れを受け入れ、その蒸散作用で駅前の廃熱の幾分かを和らげ、それ以上に三本の緑のひろがりは、人の心を知らず知らずのうちになごませてくれていたのです。

それがあっと言う間に伐り倒され、運び去られて、無惨な切株と素寒貧の駅前風景がひろがるだけとなったのでした。

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この前の突風と言うか強風を伴った集中豪雨の際に、枝落ちか倒木にちかい状態になったのでしょう。
国分寺駅南口のその一帯は人が通れないように紅白ダンダラのバリケードが設置され、一時はものものしい警戒ぶりでした。

土地を所有するJR東日本の担当責任者つまりは「駅長」でしょうが、即断で伐採を手配したのでしょう。
街なかの緑化に責任のある準公共機関が、こうした責任逃れの対処しかできないとすれば、愚かと言うほかありません。

樹木をなきものとする文明は早晩滅びる、とまでは言いませんが、このような短絡が人の心を知らず知らずのうちに荒ませていくことだけは確かである、とは言えるでしょう。

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