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1月 30th, 2015
1月 30th, 2015
秋山豊という生き方
朝から雪が降っている。
大雪となりそうだ。
今朝の東京新聞の訃報欄は以下のように伝えた。
秋山豊氏(あきやまゆたか=元岩波書店編集者)21日、すい臓がんのため死去、70歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は信子(のぶこ)さん。
93年に刊行が始まった「漱石全集」(岩波書店)の編集を担当した。著書に「漱石という生き方」「漱石の森を歩く」など。
ただただ悲しい。
昨日、棺を覆う直前、酒飲み友達何人かで、一升瓶の酒を少しずつ遺体の周りに注いだ。
驥尾に付し、私も酒を注いだ。
秋山さんが漱石全集の編集で行ったことは、戦後出版界におけるひとつの「事件」であった。
『グーテンベルクからグーグルへ』(ピーター・シリングスバーグ)という本の巻末、「編集文献学の不可能性 ―訳者解説に代えて」のなかで、明星聖子という人は、秋山さんの文章(「ここにおいて、私は、実務の伴わない著名な作家や学者・評論家を名目だけの全集編集者として奉るのはやめたいと思った」『漱石という生き方』)に触れて、「これは〈反乱〉といっていいだろう」と言っている。
しかし、その「反乱事件」の実相を知る人は少ない。
それはこれから、少しずつ明らかになるだろう。
ちなみに、秋山さんはその父、母、叔母の半生をたどった、『石や叫ばん 一九二〇年代の精神史』を著してもいる。