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カエル

40年ぶりで「ぎっくり腰」というものになって2週間ほど経ったが、いまだ椅子に坐ると腰に鈍痛と言うか、嫌な感覚が生じる。
中学時代の運動がひびいているらしい。
陸上部で走っていたのだが、腹筋や背筋のいわゆる「筋トレ」で、妙な負荷がかかったようた。

幸いよい鍼灸医に診てもらっているけれど、患部になかなかヒットしない。
よほど深いところとみえる。

寝ている間にも、事態は進行していた。
業界メディアはほんの申しわけ程度にしか触れなかったが、いわゆる「20ミリシーベルト」事件というか問題というか、福島の親ごさんたちが文部科学省門前で、雨中座り込みまでやったおかげで、「大臣」の「1ミリシーベルトを目指す」という言質をようやく引き出した。
校庭の放射性物質汚染表土の削平も、国の費用でやらせるところまでもってきた。
新宿区百人町の東京都健康安全センターに設置されている、文部科学省の放射線モニタリングポストも、地上18メートルという非常識な位置から、人体への影響を測るのに適切な、地上1メートルに訂正されるらしい。
石原がそう言ったと。
都の担当者は、市民の抗議や疑問には、「文部科学省の仕事を請け負っているだけだから」という、木で鼻をくくる返答しかしなかったのだ。
昔話に、「江戸のカエル、大坂のカエル」というのがあったが、役人というのは、目が上にしかついていないカエルみたいなものだな。両生類としてのカエル目(もく)には大変失礼だが。

けれども、水や食品の放射性物質汚染の基準値は、ずいぶんとまた上げられたから、実際は日本列島の広範囲なエリアで汚染と体内被曝は進行しているとみたほうがいい。
「国の基準値内」だから大丈夫、と言われても、誰もそのまま信用する者はいない。

「隣りの国」や半球の反対側ではなくて、「自国」エリアで原発事故が発生すると、その「国」では、基準値自体を上げざるを得ないのだな。
生産者や被害者への補償、そして「避難地域」の拡大や、膨大な「難民」の発生、そしてパニックに対処しなければならないからな。
なにせ、いまの列島東半分は、チェルノブイリをはるかに凌ぐ、放射性物質汚染の長期実験場だからな。
そうして、すべては、「ただちに影響はな」く、5年先、10年先、20年先に「結果露呈」する話だからな。

またカエルを持ち出すとすれば、熱湯に放り込むのではなく、水からすこしずつ温度を上げてやれば、カエルはおとなしく「煮殺されて」しまう、というあの例え。
情報は、関心が低下してから、少しずつ、「驚愕」の事実を後出しする。
そうすれば、カエルは、そのうち往生してくれる。
為政者は、「民百姓」がおとなしく「往生」するのを待っているようだ。
しかし、現実のカエルは水温が一定限度以上となれば、我慢なんぞするわけがない。
与えられた水槽を捨て、その外に飛び出すのだ。

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