4月 30th, 2011
「子どもの日」の前に
昨日(2011年4月29日)に、内閣官房参与を辞任した、東京大学大学院(原子力工学専攻)の小佐古敏荘(こさことしそう)教授の記者会見要旨は、海岸を原発で囲まれた列島に生きていかざるをえない子どもたちの将来に直接関係ある、きわめて重要な内容をもつものであると同時に、このブログで何度も指摘して来た、放射性物質汚染地図がいまだまともな形で公表されていないことにも触れたものであるため、30日の「東京新聞」から、以下引用する。
「原子力災害対策も他の災害と同様、法律や指針、マニュアルにのっとって進めるのが基本だ。しかし、(首相)官邸および行政機関はそれを軽視し、その場限りで臨機応変の対応を行い、事態収束を遅らせているように見える。
とりわけ原子力委員会は、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に欠けたところがあるように見受けた。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が、法令に定められている手順通りに運用されていない。結果も迅速に公表されていない。甲状腺被ばく線量、とりわけ小児については、その数値を(福島県第一原発から半径)20、30キロの近傍のみならず、福島県全域、茨城、栃木、群馬各県、他の関東・東北全域で、隠さず迅速に公開すべきだ。広域をカバーできる、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構のシステムのデータも開示すべきだ。
福島県の小学校などの校庭利用基準が年間20ミリシーベルトの被ばくを基礎に毎時3.8マイクロシーベルトと決まったが、間違いだ。20ミリシーベルト近い被ばくは、約8万4千人の原発の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学校に求めることは、学問上の見地からも、私のヒューマニズムからも受け入れられない。この数値の使用に強く抗議し、見直しを求める。」
これまで、テレビなどで顔をさらして、「ただちに影響ない」などと異口同音に繰り返してきた、同穴学者(ゲンパツアナに巣食っているムジナ)とはいささかことなる、真摯なことばである。
東大には、こういう「まともな先生」も、いたのだ。
前に述べた、郡山市による、小中学校、保育所の表土除去作業が、まったく正当であることは論をまたない。
表土除去の費用と、その処理は、世の中に正義がおこなわれるならば、当然加害者(東電と国)が負うべきである。
しかし、現実には、市が数千万円かから1億とされる費用を負担し、その処分先からも拒否されて、校庭などの隅に積んだままであるという。
各地の「教育委員会」も、子どもの近未来に直接影響する未曾有の危機にあってすら、「県」同様、単なる上位下達システムとなり果てていて、「子どもの未来」に逆作用をなしていることは前記の通り。
「子どもの日」になすべきおとなの仕業は、賢く、しかししなやかに、「自らを守る」ことを身をもって示すことだろう。
この場合の「自分」とは、身体を置く「場所」そして「地域」ということでもある。
ところで、「年間20ミリシーベルト」が、どうして「毎時3.8マイクロシーベルト」になるのだろう。
3.8×24時間×365日なら、33288マイクロシーベルト→「年間約33ミリシーベルト」、
逆に、年間20ミリシーベルトなら、20×1000÷365÷24=「毎時2.28マイクロシーベルト」となる。
この間の数字の加減は、「その場所」に年間何日、また1日のうち何時間いるか、の係数を掛けるということなのでしょうね。
前回のところに誤送信した。
福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
>児童生徒等の受ける線量を考慮する上で、16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、
>20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。
屋外と屋内では重みが違っていて、3.8μSv/hは1日8時間外にいる場合の許容値ということのようです。3.8μSv×8時間+1.52μSv×16時間を加重平均したら、ちゃんと2.28μSv/hになりました。
ありがとうございます。
調べが不行き届き、というよりも数字が苦手で、恐縮です。