Who has seen the wind?
Neither I nor you
But when the leaves hang trembling
The wind is passing through.

Who has seen the wind?
Neither you nor I
But when the trees bow down their heads
The wind is passing by.

文部省編集『四年生の音楽』(1947)にある「風」(西條八十訳詞・草川信作曲)の原詩です。
クリスティーナの童謡集「Sing Song 」(1872) にあるこの詩を、西條が雑誌『赤い鳥』に翻訳掲載したのは大正14年(1925)。

誰が風を見たでしょう 
僕もあなたも見やしない 
けれど木(こ)の葉をふるわせて 
風は通りぬけてゆく

誰が風を 見たでしょう
あなたも僕も 見やしない
けれど樹立(こだち)が 頭をさげて
風は 通りすぎてゆく

心にしみる歌です。
誰が風を見たか。
風ではなく、雨の「見たか」歌もあります。
いわく、“Have you ever seen the rain? ”
Creedence Clearwater Revival の曲で 1971年にヒット。
どろくさいバンド音と歌声がなつかしいですが、ここで歌われている「雨」は、ベトナムの地に落下するナパーム弾のことでした。
ナパーム弾の前身は、かつて日本のほとんどの都市に落下した、焼夷弾。「雨を見たかい?」 日本でこの雨を見た人は、少なくなりつつあります。Creedence Clearwater Revival という一風変わったバンド名は、「清水回復教団」とでも訳すんでしょうか。当時はCCRというアクロニムでわかったような気になっていましたけれど。

2 Responses to “風 ( 地図原論 見えないもの・その3 )”

  1. 田島on 20 1月 2010 at 13:34:25

    少し前の記事なのでお目にとまるでしょうか。

    16日のトークサロン、皆様と同じく大変興味深く
    拝聴致しました。
    何よりも地図に対する溢れる想いを感じたのは私
    だけではないと思います。

    この風の歌ですが、学生時代、「風」を「存在」と
    言い換えて、ハイデガーの著書などをかじり読むと
    ちょっと不思議な感情が沸いてきたのを想い出しま
    した。

    今後のご健闘をお祈りします。(H22.1.20記)

  2. 芳賀on 20 1月 2010 at 21:46:01

    お出いただきありがとうございました。
    皆様どんなふうにお聴きいただけるか心配だったのですが、ご感想いただいてちょっと安心しました。
    ただやはり手抜きだなと後悔するところも多く、ちゃんと本にでもしておかないといけないと強く感じました。
    が、時間とお金に追われる毎日で、今年はなんとかこの状態を脱しようと思っています。
    またお目にかかれることを念じております。

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