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google mapの穴 西大輪砂丘

現代人はスマホ依存と言ってもいい状態に落ち込んでいる。
電車に乗ってもバスの座席に座っていても、大概は窓外よりも手許の液晶画面に目をやり、あるいはせわしなく指を動かしている。
歩く時さえ前を見ない「スマホ歩き」や「ひとり喋り歩き」の手合いは少なくない。
それなしでは済まされない状態は、依存症というより中毒症に似る。
しかしながらこと空間や場所に関して、無頓着にスマホ情報に頼りきっていると「素寒貧」の穴に嵌る。

画面に何の記載もなければそこには何もないと思わされてしまうわけだが、基本地図以外はおもに利用者などがデータをアップすることによって成り立っているから、利用者が気付かないもの、あるいは利用者自体が少ないエリアは、それを見ている者にとって重要なことも”穴あき状態”になっているのである。

逆に言えば、郊外地などで皆が車で通り過ぎてしまうようなところでは、実際に地面を歩いてみること、そして画面ではなく実景に注意を凝らすと、デジタル情報ヌケが発見できるのである。
最近必要があって出かけ、スマホすなわちグーグルマップで目的地を検索せず、地形図を拡大したコピーをもって至近駅ではない駅から長歩きしたために、逆に思わぬ収穫を得た。これはひとつの経験であった。

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上のgoogle mapは埼玉県久喜市の宇都宮線東鷲宮駅北北西の一画だが、左手南北に通じる自動車道路の左右には広い空き地で何もないと思わされる。
スマホ画面をいくら拡大しても、これ以上の情報は得られない。

実際、建物は少ないのだが、周囲に目をやりながら歩いていると道路の向こう側に気になる木造建築が目に入った。
目的地までまだかなり歩かなければならないため躊躇したものの、車の走行が途切れた際道を横断し、それを見に行った。
思わぬ収穫とはそこにあった下の解説板である。

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「埼玉県指定天然記念物 西大輪砂丘」。
本来は長さ1キロ半に及ぶ、内陸性の大砂丘である。

この解説板は砂丘の頂点付近の神社前に建てられているが、google mapでは前述のようにいくら拡大してもは神社名はおろか天然記念物のキの字も出てこない。スマホ画面は「ここには何もない」というメッセージを発していて、道路の東側に「東大輪神社」名がみえるのとは対照的である。
ただし検索で説明板のある神社の名「西大輪神社」と入力すれば、その地点は示す。
しかし「砂丘」についてはノーコメントである。
以下の写真は砂丘説明板とその奥の西大輪神社だが、社殿が砂丘の高みに設営されたことがよくわかるだろう。

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社殿は、上のgoogle mapでは左下、「さんげつ ラーメン・安価」の「ラー」にかかる四角の図形で表わされているだけである。
スマホ地図には穴があると思うべし。
これが教訓である。

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