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成増台の大露頭

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大森昌衛監修『東京の自然をたずねて 新訂版』(日曜の地学4、1998年)カラー口絵から
以下はキャプション
「成増露頭(板橋区、1981年撮影) 武蔵野台地の代表的地質断面。地層は下から東京層、武蔵野れき層、関東ローム(茶褐色の部分、下限は黄色のPm-1軽石層)。現在、この露頭はコンクリートでおおわれてしまいました(36ページ参照)。」

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上掲同書36ページの一部。「百段階段」のある赤塚四丁目の崖は、「かつての成増大露頭」と注記されている。
百段階段は、地上4階建てのマンション「東久パレス赤塚」2棟の東側を上下する。
露頭写真が1981年、マンション竣工は1983年5月だから、マンションの新設と擁壁工事は辻褄が合う。
岩盤ではなく、泥や砂礫、火山灰(ローム)主体の崖は生成後幾許もなくして緑に覆われ、露頭を目にする機会はめったにない。首都圏の露頭は、ほとんどが工事による「一時(いっとき)露頭」である。

長大な崖地は、人家の少ないところは行政体が土地を買い上げて公園とするのがもっとも望ましいが、人家の既に密集しているところでは擁壁を設けて崩壊に備えるほかない。マンション建設は、都による擁壁工事に合わせて行われたものであろう。

以下は拙著『江戸の崖 東京の崖』の冒頭、7ページに掲げた写真とそのキャプション。写真は百段階段の途中から、その西側を撮影した。初刷りは2012年8月だから、擁壁工事約30年後の様相である。それからさらに10年近くを経て、さて「崖」の今日の状態は如何であろうか。

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