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潜在自然植生

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図は宮脇昭編『日本植生誌 7 関東』(1986年)の附図KarteⅡ「関東地方の潜在自然植生図」の一部。
東京都の低地は緑色(1)の「イノデ-タブノキ群集」、武蔵野台地の東縁部は黄緑色(3)の「ヤブコウジ-スダジイ群集」、東京都と埼玉県にまたがる武蔵野台地の大部分は薄緑色(5)の「シラカシ群集」で、これらは統合して「ヤブツバキクラス域」(照葉樹林帯)とされる。なおヤブツバキクラス域の開析谷に沿った部分(11,12)はごく大雑把に言うとハンノキ群集である。
左端の山地および武蔵野中央部の狭山丘陵の茶色(8)および黄土色(21,24)は「ブナクラス域」(落葉広葉樹林帯)に区分される。

潜在自然植生 potential natural vegetationとは、いま一切の人間活動が停止し自然への影響力が断たれたと仮定したとき、そのエリアに復原されるであろう植物の一定相のことで、優占種名で代表させる。
そのもっとも基本的な条件は気候すなわち気温と雨量で、それに標高や土質、地形などが影響する。
武蔵野はブナ科コナラ属の常緑広葉樹シラカシが卓越することになるが、またニレ科ケヤキ属の落葉広葉樹であるケヤキが混在する。
いまその一端を平地で見ることは困難で、辛うじて残された国分寺崖線などの斜面のところどころに目にし得るだけである。

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