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斎藤実の手紙

昨年9月9日のブログ「仙台の話 ―須藤正衛の肖像画によせて」で触れた「斎藤実」の手紙だが、斎藤実文書に通じた方にみていただいて、以下のように活字に直した。
とりあえず公開しておく。

これは、私の祖父の長兄である須藤義衛門の書簡に対する返信である。
封筒の消印の昭和4年(1929)9月といえば、斎藤が再度朝鮮総督(第5代)として赴任して1月あまりの時だ。

この手紙とそして義衛門の父の須藤正衛(私の曾祖父)の肖像画が何故私の実家の所持するところとなったのか、読んでみてさらに疑問は深まる。
東京にいるという須藤の本家に何らかの伝えがあればそれを聴き、水沢や仙台になんらかの関係資料が残されていないか探す、という作業が残されているが、それはまだ果たされていない。
もちろんその時間がないためでもあるが、何もしていないわけではない。昨年10月には須藤の菩提寺である仙台の寿徳寺には住職宛の書簡を送った。こちらの素性を名乗り、返信用封筒を入れて東京に移った本家の連絡先の教示を依頼したのだが、半年にならんとするもいまだナシのつぶてである。世の中には理解し難いことがいろいろあるが、これもそのひとつか。寺の奥にはユンボが複数台が入り、斜面を整地して墓域を拡張、「大売出し」に専心している様子であるが。

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〔封筒表〕東京市四谷区南伊賀町八 須藤義衛門殿 貴酬   〔消印〕京畿 4.9.27 后1-3

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〔封筒裏〕京城倭城台 斎藤実

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〔本文〕
 拝啓 益御清勝奉大賀候。陳は先般来度々御懇書ヲ辱クシ難有仕合ニ奉存候。着任已来頗ル繁忙ノ為メ乍思御無沙汰申上何共御申訳無之候。偖木村中将ノ発病ヨリ逝去ニ至ル迠ノ状況御通知被下誠ニ明瞭ニ其経過ヲ知ルヲ得候段感謝申上候。遺憾無涯次第ニ御坐候。又菅原君ノ儀ニ関シ御懇示ノ趣拝承、予テヨリ考慮罷在候問題ニ付当地ニ於ケル四囲ノ状況ハ実際ニ更迭ヲ行フコト頗ル困難ナル場合ニ付、先以此侭ニ致候積リニ候間御含置被下度候。詳細ハ拝晤ニ譲リ申候。
 松井子爵家御什器御処分ノ儀ニ関シテモ御内報被成下難有仕合、少シテモ良好ノ方ニ御処理成候様御配慮奉希望候。
 時局秘気相催候折柄御自愛専一ニ奉被候。 敬具

    九月二十七日                                実

  須藤尊台
     虎皮下

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