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怪しい地図記号 その7

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この図は「五千分一東京測量全図」全36葉のうち「東京府武蔵国京橋区木挽町近傍」(1884年〈M17〉2月)の左下隅部で、前回の迅速図と同様「東京馬車鉄道会社」の本社がみえる。
いわゆるフランス式の着色原図で、『地図記号のうつりかわり』によれば明治13年式の図式にしたがい木造家屋は黒、垸工家屋(煉瓦や石などの不燃材製建物)は赤色で表現されていると書いている。しかし原図に赤色の屋根として示された建物がすべて垸工であったわけではない。この点については後に触れる。
さて「馬車鉄道」に関してであるが、「源助町」から「柴井町」まで立派に線分記号が記入されている。
しかしながら、「五千分一東京測量全図」の複製版解説にも、『地図記号のうつりかわり』の「5千分1東京図記号表」にも、「馬車鉄道」の文字は一切登場しないのである。
それに対してこの図の「鉄道記号」は二条線の間に節入れをした梯子形、つまり枕木と鉄線路の形そのままの記号化でまことに判りやすい。図の中央に見える通りである。

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